2014年2月25日火曜日

Kangding Ray「Solens Arc」(raster-noton、2014.02)

■Kangding Rayの新譜「Solens Arc」を聴く。ノイジーな音響とビートを精緻に構築した「Stabil」(2006)「Automne Fold」(2008)、明らかにフロアを意識した「OR」(2011)といった過去の傑作に比して、いささか物足りない印象を受けた。2Tr「The River」のシンセサイザーのノイズも、3Tr「Evento」や5Tr「Blank Empire」の4つ打ちも、総じて音色の作り込みがいささか甘いのではないか。アルバム全体を通じたコンセプトも、よく分からない(しかしアートワークは非常にカッコいい!)。

■Kangding Rayは、raster-notonに所属するアーティスの中ではかなりポップな部類に入るだろう。Alva-noto、さらには池田亮司の審美的なマテリアリズムは、時に自閉的だ。音色とリズムのセンスにおいて、極めてポップな感覚を持つKangding Rayには、いわゆる「音響派」を、「テクノ」の方向へと押し広げていくような作品を期待したい。